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貸借対照表の読み方(3)

2007年11月5日

資金調達、特に金融機関からの融資を受けるときには、利益が出ているかどうかというのは最も大事なポイントですが、赤字でも融資が受けられないわけではありません。ただし、赤字の場合、うっかりするとつまづくケースがあります。典型的なものとしては、次のようなものがあります。
1. 仮払金や短期貸付金の残高が多い
社長や他の役員宛の仮払金や短期貸付金の残高が多い場合、会社の資金を経営陣が私的に流用していると解釈されます。「この会社に貸しても、その資金は事業に使われずに社長のプライベートに使われるかもしれない」という疑念を抱かれます。
また、会社が負担するつもりで使った経費を計上してしまうと赤字が大きくなるため、会社が負担せず、役員に貸したことにすると、この部分が膨らみますので、粉飾決算の疑念を招きがちな項目でもあります。
2. 固定資産の残高が減らない
土地以外の固定資産は、使っていれば継続的に減価償却費を計上して残高を減らしていくべきものです。減価償却費の計上有無を税法が任意としているため、赤字の場合は減価償却費の計上をせずに損益を良く見せようとする会社が多く存在します。固定資産の残高が減らない会社は、減価償却費の計上ができないのだと解釈されます。定期的に設備の更新が必要な会社は特に気をつけるべきポイントです。
3. 繰延資産の残高が減らない
創立費や開業費などの繰延資産は、既に支出済みの費用を、その効果が長期間にわたるため資産として計上することを認められている項目です。会社設立後、一期目の決算で、まだ売上が安定ラインまで達しておらず赤字が出る場合、その赤字をあまり大きく見せないようにという政策的意図があって創立費や開業費を計上することが多くあります。黒字が出てくると、税金を多くしないために償却してしまうものですが、それが残っているということは、償却できないのだという解釈を招きます。
4. 金融機関からの借入が多い
もちろん事業規模や自己資本との対比で見られますが、借入が多いと、それだけ返済にも苦労します。金融機関の一般的な見方では、通常では、運転資金としての借入は売上の3ヶ月分くらいが上限と言われています。ただし、社長や家族、役員などの、いわば「身内」からの借入は、金融機関から見ると、自己資本に準じる見方をされるので、その金額の多寡が問題になることはあまりありません。
5. 買掛金、未払金の金額が多い
こちらも仕入や経費との対比ですが、2ヶ月分を超える金額が買掛金や未払金に残っていると、支払が遅延している可能性を疑われやすくなります。
6. 預り金の金額が多い
預り金には、通常は社会保険料、雇用保険料、源泉所得税、住民税など、従業員の給料から天引きして納付するものを計上します。この金額が役員報酬や給料の金額に比べて多いと、納付が遅れているのではないかと疑われやすくなります。また、資金不足で支払ができない場合は、通常の取引先への支払よりも、こういった役所への納付の方が遅れやすいので、資金繰り悪化の際、最初に変化が現れる項目でもあります。
7. 未払法人税、未払消費税などの金額がずっと残っている
この項目も、預り金と同じく、資金繰り悪化の際に最初に変化が現れる項目です。決算日の2ヶ月後ないしは3ヶ月後が納付期限なので、それを過ぎて残高が残っているということは、お金がなくて納付できていないと解釈されます。
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