掲載記事

当社が掲載された記事をご紹介します。

記帳代行会社のスタンス

月刊シリエズ 2000年3月号

コストダウンと品質保持に注力したインターネット記帳代行

 紙ベースで伝票をやり取りする従来の記帳代行業では転記の際の誤字脱字や記入漏れ、あるいは 記帳者の力量など、業務品質の心配があることは確かだ。 こうした不安を解消する手段の一つとして、顧客が直接入力したデータを使うなど入力規定に 万全を期し、形式的不備を一切回避できるようにしたシステムがある。
東京都の(株)バックオフィスが提供するインターネットを利用した経理・給与計算の代行業務「前代未聞」サービスがそれである。同社のサービスは、まずパソコン用ソフトウェア「前代未聞」シリーズの購入が前提となる。 その後パソコンへのインストールを行ってから同社のサーバーに申し込めば、即日代行サービスが 受けられるものだ。
 この「前代未聞」は伝票入力機能だけをもったソフトで、入力されたデータはインターネットを通じて 送り出され、バックオフィスのセンターで一元的に集計される。また元帳・試算表など、顧客が必要とする集計表も要望に応じてすぐにインターネットで配信される。
 料金体系は非常に明確で、経理代行ソフト・給与代行ソフトが共に1万円。これに月額コストとして 500仕訳までの経理サービスが1万円、給与計算で5,000円発生するだけである。

また決算処理は、事前に試算表レベルから始まる書類を提携税理士に送り、後は直接クライアントと 綿密な打ち合わせを行うことで対応する。
 このシステムによって「前代未聞」サービスは、他の会計ソフトと税理士を組み合わせた業務に比べ、 年間70万円程度のコストダウンを可能にしたとしている。

新しい技術でも信頼性、機密性は十分に保持できる

 ただ一方で、入力業務に対する顧客の負担やインターネットでのデータ送信時の信頼性などに不安が残る。 この不安を同社の小杉和久取締役副社長はこう払拭する。
「このソフトの特徴は、財務・経理の知識がない方でも使いこなせるように徹底して専門用語を排除し、平易な言葉に書き換えたことにあります。また、社会保険など行政への提出処理もモニター上で現物の写真を参照しながら入力できるように工夫してありますので、特別な判断はいりません。ですから締め日と支払日ぐらいの知識しかない方でも簡単に入力できるのです。次にインターネットでのやり方は100%安心できないから敬遠するという方もいらっしゃいますが、書類をやりとりする形の記帳代行でも完璧でないことには変わりありません。要するに引き出しにしまった書類を鍵であけるか、パソコンにしまってパスワードで引き出すのかの違いだと思います。もちろん機密の保持には最大限の努力をしています。通信はすべて当社で開発した技術で暗号化していますし、ネット上でデータがなくならないような特許出願中の仕組みも開発しています。まず問題が起きることはないでしょう」 コストの安さと「税理士付」という同社のサービスは今後、会計事務所にとって脅威になりうると思えるが、そうした懸念はまったくあてはまらないと小杉氏はいう。
「実際に記帳代行を手がける先生方のお話を聞くと、記帳代行はまったく儲からない上に、クォリティの維持や管理が大変だという感想をお持ちです。それならば先生方には税務申告やコンサルティングなど一番差別化のできる部分をお任せし、後は『前代未聞』が担当したほうが効率的です。ですから当社は導入企業をサポートしていただくためにも各地の税理士の先生方と提携したいと考えているのです」 視点を変えれば、提携した会計人にとっては経理代行ソフトの購入者を切り口とした新しい顧客の開拓が期待できるといえよう。 (中略)記帳代行会社は決して会計事務所と対立する存在ではなく、むしろ率先して会計事務所との提携を望んでいる存在というわけである。
Copyright(c) 2000-2024 Back Office Inc. All Rights Reserved.