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当社代表の気ままなブログです。

サービス業の原価計算(1)

2007年8月20日

従来から、製造業の原価計算は詳しく研究されてきました。
製品一つ当たりの原単価を正確に計算するため、そしてそれを経営判断に有効活用するために、様々な工夫がされています。このあたりは、原価計算だけでも分厚い本があるくらい詳しく研究されています。
それに比べて、飲食店やエステサロン、マッサージなどのサービス業は、会計の世界では原価計算の概念が比較的薄く、製造原価勘定を使わずに会計処理を行っている会社がほとんどでした。
しかし、サービス業の経営者や投資家にとって、「サービスを提供するための原価がいくらなのか」というのは非常に大きな関心事です。
例えば、ある飲食店が、去年までは加工された食品を買ってきてお客様に出していたとします。それを今年から、生の食材を買ってきて店内で加工して出す方式に変更したときには、食材の仕入れコストが下がる代わりに調理のための人件費が増えるというコストの変化が予想されますが、トータルで増えたのか減ったのかを把握することが必要です。
このため、原価は販売や管理のための費用とは切り離して計測・集計したいという要求が出てきます。
具体的にどうするのかというと、製造業の原価計算では、かなり乱暴な言い方をしてしまうと、工場のコスト=原価、本社や営業所のコスト=販管費と捉えます。サービス業も同じように、店舗のコスト=原価、本社のコスト=販管費と捉えます。もちろん、店舗がチラシ配りなどの販促活動をしたり、小規模な事業者が店舗内でいわゆる本社の業務を行うことは充分に考えられるため、このあたりの調整は別途必要になります。
大きな違いは「在庫」です。製造業では、加工に費やした労力は製品一つ一つのコストの内だと解釈して原価に算入し、売れ残ったモノのコストを「在庫」という概念で貸借対照表に置いておくことで、製造にかけたコストが売上になって回収されるまでのタイムラグを吸収していますが、サービス業では、労力を費やした結果が物理的な「モノ」として残らずに消えてしまうことが多いため、その「消えた分」を売れたサービス一単位当たりの原価に算入すべきかどうかの判断を正確にしないと、サービスの単価がきちんと計算できないことになってしまいます。
途中ですが、長くなってきましたので続きは次回。
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