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当社代表の気ままなブログです。

サービス業の原価計算(2)

2007年8月24日

製造業の原価計算には、「標準原価」という概念があります。
標準原価とは、簡単に言ってしまうと、正常な製造工程においてかかる製造コストのことです。「正常な」というのは、「完璧に作ったとき」という意味ではなく、仕損じや休みなどによるロスも平均的な水準をコストとして計算に入れます。標準原価を算出するときに使用する様々な数字は、実際にかかった数字ではなく、過去の統計値を使います。
過去の統計値を使う理由は、実際の数字をリアルタイムで計測することが難しい数字がたくさんあるからです。そして、実際の数字が分かったときには、間に合うタイミングで予定との差異を調整することになっています。
こうして出した製造工程全体のコストを製品の種類別に分けて、さらにできあがった製品の数で割ると、製品一つ当たりの製造原価を出すことができます。すぐに売れずに在庫になったものについては、この金額に数量をかけて計算した在庫の総額を貸借対照表に「製品」として計上します。
製品として計上したものが、破損、腐敗、水濡れなどの理由により全く売れない状態になってしまった場合、それを「棚卸減耗損」として費用に振り替えます。
製造業では、これによって製品一つ一つの製造コストを計算した上で、製造工程以外で起きるロスをそれとは別のコストとして明確にする仕組みができあがっています。つまりは、要因別のコストが見えるということです。
この仕組みと同じような仕組みを、サービス業でも作れるのではないかと思います。
例えば、2人のエステティシャンを配置しているエステサロンの原価には、2人分の人件費、家賃、光熱費、オイル等の消耗品、タオル等のリネン費用、機器の減価償却費などがあります。このエステサロンには通常1日10人の来店があるのに、今日だけはその半分の5人しか来店がなかったとします。
その場合、かかった原価のうち、消耗品とリネン費用は、来店があった場合だけにかかるコストです。また、人件費、家賃、光熱費、減価償却費は、来店がなくてもかかるコストです。1人の来店当たりにかかるコストを算出するとき、来店があった場合だけにかかるコストは、実際来店数の5で割ります。しかし、来店がなくてもかかるコストについては、実際来店数の5で割るのではなく、予定来店数の10で割ります。この二つを足した数字が、「来店客へのサービス提供原単価」です。
そして、後者の数字だけを取ると、それは「待機した分の原単価」となります。製造業でいえば「作ったのに捨てた製品の製造コスト」にあたります。
あくまで想定の話ではありますが、赤字のエステサロンがあったとき、次の施策を考えるにあたり、その選択肢は、来店客を増やせばよいのか、コストを削減すべきなのか、あるいは撤退という選択肢もあるでしょう。数字を読み解く段階で、来店客に実際にかかる原価と待機コストを別々に表示することで、その選択がより正確なものになる気がします。
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