月刊IT SELECT 2001年12月号
数あるASP(アプリケーション・サービス・プロバイダー)のサービスカテゴリーの中から毎回1カテゴリーを取り上げ、代表例を比較・評価していくASP連載の第2回。今回は「会計型ASP」。会計ソフトは企業にとって必須であるため、選択の幅も大きく広がっている。その中から自社に最も適したASPを選択することが重要な導入基準だ。
▼21世紀型国際会計基準に対応 グローバルな企業経営を支援
インターネットに代表される情報通信の発展は、世界の市場、経済を一つにするパラダイムシフトを引き起こしている。そのため企業も規模の大小に関わらず、国際的な基準に沿った経営が求められる。
ASP会計を活用すれば、このような21世紀型経営に必須となる国際会計基準に対応し、キャッシュフローや連結決算情報をはじめ、経営に必要な情報をリアルタイムに取り出せる。厳しい社会変革の中でのグローバルな企業経営を強力にサポートする、それが会計型ASPと言える。
▼煩雑な仕訳処理からの開放と決算期間の大幅短縮を実現
会計型ASPを活用すれば、離れた支店/工場をネットワークで結び、全社的な会計システムを構築することが可能になる。各支店などの会計情報は、インターネット経由で瞬時に本社に集められる。さらに販売、生産、人事総務などの業務システムのデータを会計システムに取り込めるソフトも登場している。これらによって本社経理部門をわずらわしい仕訳業務から開放するとともに、決算期間を大幅に短縮することができる。また会計士にリアルタイムで指示を仰げるなど、享受できるメリットは少なくない。
さらに会計データウエアハウスを活用し、戦略立案のための経営分析も可能になる。プロジェクト・地域・事業セグメントなど、さまざまな視点で会計情報を分析することができ、迅速かつ的確な意思決定が実現できる。
ASP会計は21世紀型企業経営の根幹となることは間違いないだろう。
▼選択のポイントと評価の基準
会計型ASPの代表例を機能、使い勝手、カスタマイズ、コストの4項目から診断し、各項目を5段階評価。上位3つのASPを編集部が順位付けする。
評価基準
機能: 帳票の豊富さ、電子会計(電子帳票、電子申告)対応、会計事務所での使用実績、他システムとの連動を評価
使い勝手: 入力補助機能、ヘルプ機能の充実により入力が容易であること、専門ソフトのインストールが不要であること
カスタマイズ: 画面および帳票の設定変更に関する機能の有無を中心に、Excelなどへの受け渡しの機能も考慮した
コスト: 初期費用を各月に振り分けて一人当たりの月額使用料を評価した
前代未聞サービス 出張サービス、入力代行サービスなど初心者も安心
サービス事業者名: 株式会社バックオフィス
HP: http://www.back-office.co.jp/
無償利用: 有り(1カ月)
最低契約期間: 3カ月
導入実績 導入社数: SOHO 50社、中小 150社
ターゲット顧客: SOHO、中小
モバイル対応: ―
セキュリティー対策: 通信経路の暗号化、サーバーのウイルス感染防止など
接続回線: ADSL
利用環境: オフラインでの入力可能
編集部評価: 機能 ★★★、使い勝手 ★★★、カスタマイズ ★★★★、コスト ★★★★
料金体系(例)
■経理サービス(法人): 初期費用0円、月額費用1万2000円
■給与サービス(法人): 初期費用0円、月額費用6000円
■経理(個人事業主): 初期費用0円、月額費用4000円
■給与(個人事業主): 初期費用0円、月額費用1917円