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『社長の授業料は100万円!』

キープラネット 2003年6月

小杉 和久   (株式会社バックオフィス 代表取締役)
経理・給与計算のアウトソーシング 、経営コンサルティング

私は、仕事に対する価値観やスタイルは、だいたいどんな人でも30歳までに固まると思っています。逆に言えば、30歳を過ぎるとなかなか変われないということです。また、こうした価値観のほとんどは、最初の職場で植え付けられるものです。これは、前の職場で、金融機関出身の頭の固い上司を見ていたときに思ったことですが、だいたいどんな人を見ていても当てはまっています。特に、部下に対する期待や要求にこれが如実に表れます。特に、仕事中毒といわれる人のうち多くは、部下に、自分と同じだけの時間働き、自分と同じだけ会社にコミットすることを求めます。私も例外ではなく、外資系の経営コンサルティング会社にいたため、仕事に対する強い責任感やセルフチェックというものを人にも求めてしまいます。

この欠点を自分で強く認識するできごとがありました。

独立してから1年ほど経った頃、ある小さなコンサルティング会社の社長からメールがありました。当社の販売代理店になりたいというものでした。
代理店になってもらうのは、大規模な顧客網を持つ会社に限定していたので、その話は断ったのですが、ちょうど社内に業務管理担当の人材を採用したいと考えていたところだったので、当社の社内でそういう仕事をやってみる気はないかと質問してみました。
その相手は会社の経営に行き詰まりを感じていたらしく、話はトントン拍子に進み、社員として働いてもらうことになりました。

元々経理畑の人だったので、入社してすぐに、いくつかの仕事を頼みました。
その一つに、お客様向けのマニュアルを作るというものがありました。 
経理で必要な領収証や通帳のコピーなどの送り方や送り先住所、タイミングや年間スケジュールなどを書いて、当社のサービスを受けるためにお客様が何をしたらよいかと書くものでした。どんなものを作ってほしいか、簡単な打ち合わせでイメージを伝え、早速作成に入ってもらいました。
そして期限になって、できあがったものを見せてもらったところ、できてきたのはお客様向けマニュアルではなく、商品パンフレットでした。
何を聞いていたのか、中間報告や疑問点の質問はしなくても良かったのかと問いつめましたが、逆に、私が忙しそうにしていたので聞かなかったと言われ、私のせいにされてしまいました。

私の時間を取らないということも大事なことではあるが、最も大事なのは頼まれた仕事を遂行することであり、どちらを優先すべきかを説明したところ、分かったような分からないような不思議そうな顔をしていました。
その後も、同じようなレベルのトラブルが頻発し、結局は辞めてもらったのですが、自分と同じような感覚で仕事をしている人ばかりではないということを思い知らされたできごとでした。

結局、彼に払った給料の額がだいたい100万くらいになります。それ以来、お客様の会社経営にアドバイスするときには、「社長の授業料は100万ですよ」と言っています。社長の授業料は高いんです・・・  

 小杉 和久さんのプロフィール(起業家データベースより)
http://www.keyplanet.com/memberlist/jinzai/zeirishi/back-office.html
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