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経理代行会社 顧客開拓サポートします 決算、年末調整業務など紹介 事務所スペースも提供

税理士新聞 2000年10月25日号

給与計算や経理代行サービスの低価格化が急速に進むなか、税理士ら士業とタッグを組んで事業の拡大・効率化を図るアウトソーシング会社が出てきた。経理・給与計算では顧客企業から決算・年末調整などの業務を安価で請負い、それを連携する税理士らに割り振っていくほか、独立を志望する士業には事務所スペースも提供する。こうした事業連携は、顧問先減に悩む会計事務所や若手の資格者の間で話題となりそうだ。

中小企業やSOHO(スモールオフィス・ホームオフィス)向けに経理・給与計算のアウトソーシングサービスを行っている(株)バックオフィス(東京・中央区、社長=小杉和久氏)が、税理士をはじめとした士業との本格的な事業連携に乗り出した。

同社ではこれまで、インターネットを利用した経理・給与計算ソフト「前代未聞シリーズ」を中心にアウトソーシング事業を展開。サービスの仕組みは、まずユーザー企業がソフトの画面上に伝票データを入力、電子メールなどで同社のサーバーに送信する。送られたデータは即時に処理され、各種の集計表や給与明細、請求書などがユーザーへ返信される。低価格・スピードをウリに業務の受注を急速に伸ばしてきた。

同時に50人以上の税理士らとも連携し、顧客企業から決算処理などの依頼があった場合は、その税理士側にとっても、決算処理で10万円程度と安価ではあるが営業することなしに業務報酬を得られるわけで、決算業務をきっかけに顧問契約につながるケースもあるという。

今回は、こうした税理士との連携をさらに強化。同社の顧客から上がってくる決算や年末調整などの案件を委託するだけでなく、低い顧問料の割には手間のかかる顧問先など、税理士にとって採算の合わない経理・給与計算業務の代行も行う。その場合、税理士には毎月“紹介手数料”が支払われる。

同社で経理・給与計算を行った場合、合わせて毎月1万8千円の料金で顧問先に提供できる。その料金から一定の金額が会計事務所に支払われる仕組みだ。同社では「人的、時間的に余裕のあるケースはともかく、大口顧客や専門的なコンサルティング業務に力を注ぎたいという会計事務所にはぜひ活用してもらいたい」(小杉氏)としている。

同時に、決算や年末調整業務などの案件紹介も積極的に行っていく。とくに営業面では東芝エンジニアリング(株)らと提携し、「全国的なユーザーの増加が見込まれるため、さらに多くの税理士、会計事務所と連携したい」(同氏)という。

また、新たに開始するのが、税理士をはじめとした士業らへの「インキュベーションオフィス」の提供だ。これは、(株)メビウスリングと提携して行うもので、独立を目指す勤務税理士らに事務所スペースを低価格で貸し出す。現在は都内数カ所を用意しているが、今後は首都圏、全国に拡大する方針。さらに、司法書士や社会保険労務士などにもオフィスを提供し、将来の「士業総合化」にも対応する構えだ。

入居の条件は、業務ツールとして「前代未聞シリーズ」を使用することなど。当然、バックオフィス社との「提携税理士」となる。顧客をあまり抱えていない税理士でも、新規開拓のサポートや決算業務の依頼などを行い、全面的にバックアップする。

こうした事業連携の強化について同社では、「たとえば決算書に税理士の押印があるのとないのでは信用度が違う。税理士との連携には、こちら側にも大きなメリットがある」(同氏)としている。士業の肩書きや専門性の高さを活用して、アウトソーシング会社などと連携していく動きは、今後ますます注目される。
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